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兵衛谷・その3

兵衛谷・その3_c0018489_084625.jpg3日目。
今朝も出発は7:30を廻っている。今日は行程が長いのに大丈夫か?

歩いて暫くすると、薮の上の方から、おーいと人の声が。
こんな所に人が、と嬉しくて手を振ると、
「この上で釣るので、考慮して歩いてね。」
…釣師さん、了解です。
トラブルにならなくてヨカッタ。

今日もナメが続く。
だんだん水や岩の色も変わってきたぞ。

兵衛谷・その3_c0018489_0194247.jpgおお!
迫力のパノラマ滝 40m。
ここで兵衛谷は
シン谷と尺ナンゾ谷に分かれる。

右岸のFixロープのある
踏み後から巻いて
いよいよシン谷へ。


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どかーんと百間滝 50m。
左岸を適当にあがると
被り気味の岩で行き止まり。
トラバースして踏み後を発見。
途中、崩れそうなルンゼを横切る。
時間がかかっても
安全の為に、確保すべきだった。


沢にもどり、15m直瀑を右岸から越える。
トゲトゲの草付で、素手のヤナッチはかなり難儀していた。
教訓。沢にはせめて軍手必携。

更に歩いて歩いて、ようやく遠くに稜線が見えた。
…まだ遙か彼方やん…
兵衛谷・その3_c0018489_23435556.jpg
なんやこんな上にも
どでかいゴルジュに連瀑。
左岸から大きく巻く。

この辺りから伏流となり、
ガラガラのゴーロ歩き。
歩いても歩いても、ゴーロゴロ。
ひょっとしてこの先、水がなかったら
どうしよう?もうヘトヘトだし、ビバークしたい位…でも水がない。


おお!水だ!いきなり滝!!
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神津滝 30m。
滝ができるほど水があるのには
驚く。
左岸から高巻く。
いやもう、ほんとにヘロヘロ。
ビバークするにも、ここは岩だらけで寒すぎる。


滝を越え、ヨロヨロ歩くと、またゴルジュが。
これが、最後の大巻きのはず。
左岸のガレ場を登り、ハイマツ帯をトラバースして
更にガレ場を適当に上へ、下へ…
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適当な所で沢へ降りる。

何なんだ?ここは。

火星か?

グランドキャニオンか?


最後の最後に、とどめの6mの滝が現れる。
日本最高所の滝(2800m)だ。
自分のしょぼい体力も限界近くにきている。
これを越えたら、終わりだ。頑張ろう。

滝の下で水筒をいっぱいにして、
最後の力をふりしぼって、左のガレ場から越えると…

兵衛谷・その3_c0018489_0311570.jpgそこには沢山の花が揺れる
楽園が広がっていた。

あまりにも
それは突然やってきた。

美しき源流。
ここが兵衛谷のはじまり。

深い感動で
しばし呆然となる。


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賽の河原まで、
素晴らしき美景と
可憐な花を心ゆくまで愛でながら
ゆっくりと
ゆっくりと
歩く。


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賽の河原から見た
御嶽山。

夕方の登山道は
人っ子独りおらず
しんと深く静まりかえる。


今日のお宿は、賽の河原避難小屋。
先客の男性がおひとり。
小屋は新しいけど隙間風で寒く、中でツエルトを張る。
疲労困憊した自分は、食欲も全くなく、ひたすら眠った。
by Koh_chang | 2007-08-13 00:05 |